体に良い油、体に悪い油 知らないと危ない油抜きダイエット

糖質制限ダイエットが注目される中で、太る原因の一つである油(=脂質)を制限すれば痩せるのではないかと考える人が数多くいます。

たしかに過剰な油の摂取は太る原因となり、健康面・美容面でもマイナスです。しかし、完全に油をカットしてりまうのは要注意です。

適量の油を摂取しなければ体の様々な機能に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、昔から「コレステロール=太る」と言われ、ダイエットの天敵とされてきましたが、米当局が2015年ワシントン時事で、「健康維持のため食事による摂り過ぎには注意が必要とされているコレステロールについて、摂取量を制限する必要は無く、コレステロールは過剰摂取を心配する栄養素ではない」との見解を発表しています。

油に対する間違った認識の方も多いため、ダイエットを始める前に正しい知識を身に付けましょう。

油抜きダイエットの注意点

夕食を『とんかつ』ではなく『豚しゃぶ』、『天ぷら定食』ではなく『お刺身定食』にするなど、数日であればヘルシーな食事ということで全く問題ありませんが、過剰な油のカットはおすすめできません。

理由は、適量の油を摂取しなければ体の様々な機能に影響を及ぼす可能性があるからです。

体の60%は水で出来ています。体の固形部分を作っている、残りの40%が半々でタンパク質と油なのです。

油には細胞膜の形成や、脳や神経の機能を保つ、ホルモンの材料になる等の役割があります。体内で油が不足すると血管が弱くなり、脂溶性ビタミン(ビタミンA、D、E、Kなど)の吸収が悪くなってしまいます。

また、油の不足は肌のツヤや髪のパサつきの原因にもなり、間違った油抜きダイエットでは美容面でも悪い影響があります。

体に必要な油はしっかりとりましょう。昔から「コレステロール=太る」と言われ、ダイエットの天敵とされてきましたが、米当局が2015年ワシントン時事で新見解を発表しました。

体に良い油、体に悪い油

一言で油と言っても油には体にとって良い油、体に悪い油のように様々な種類があります。油抜きダイエットを始める前に油について正しく理解しましょう。

【飽和脂肪酸】

肉類、バター、乳製品、パーム油に含まれるのが、飽和脂肪酸と呼ばれる種類の油脂です。現代人は飽和脂肪酸を過剰に摂取し過ぎている傾向があり、摂取し過ぎると悪玉コレステロールが増加し、動脈硬化や心筋梗塞などの生活習慣病に繋が高まります。特に肉や洋食中心の食生活の人は、なるべく魚や和食にすると、過剰摂取を防ぐことができます。

常温では固体であることが多く、酸化しにくいという特徴があります。

【不飽和脂肪酸】

不飽和脂肪酸は『オメガ3(多価飽和脂肪酸)』『オメガ6(多価飽和脂肪酸)』『オメガ9(一価飽和脂肪酸)』の3種類に分けられます。

この内、オメガ3とオメガ6は体内で合成(作る)することができないため、食品から摂取しなければならない『必須脂肪酸』です。

常温では液体であることが多く、光や空気、熱によって酸化しやすい性質があります。

オメガ3(多価飽和脂肪酸)は、「青魚」「えごま油」「アマニ油」「チアシード」などに含まれ、「DHA」「EPA」「α‐リノレン酸」などがこれに分類さます。中性脂肪やコレステロール値の抑制、血流改善、月経前症候群の緩和、冠動脈疾患の予防などの効果が認められており、1日1~2g程度の摂取が推奨されています。

オメガ6(多価飽和脂肪酸)は、「コーン油」「綿実油」「ゴマ油」などに含まれ、代表的な脂肪酸は「リノール酸」です。必須脂肪酸ではありますが、現在人は摂取し過ぎている傾向があり、生活習慣病やアレルギーを悪化させる可能性があります。

オメガ9(一価飽和脂肪酸)は、「オリーブオイル」「キャノーラ油(なたね油)」「紅花油」などに含まれ、代表的な脂肪酸は「オレイン酸」です。飽和脂肪酸の代わりに摂取すると悪玉コレステロールを減らす効果が期待でき、動脈硬化予防に役立といわれています。

【トランス脂肪酸】

植物性油脂に、水素添加することで生成されるトランス脂肪酸は、「マーガリン」「ショートニング」などに多く含まれ、原材料として使用されることが多いお菓子、パン、ケーキ、揚げ物などに含まれています。トランス脂肪酸は体にとって不要な脂肪酸であり、摂り過ぎると悪玉コレステロールを増加させ、生活習慣病のリスクを高める可能性があると世界保健機構(WHO)が注意勧告しています。

日本では今現在、規制されてはいませんが、欧米の国々では含有量の規制や表示の義務付けが行なわれています。そのくらい過剰摂取はリスクが伴う油ということです。

正しい油抜きダイエット

完全に油を抜いてしまうと痩せるかもしれませんが、体の様々な機能に影響を及ぼす可能性があるため健康面でおすすめできません。また、油の摂取量が足りていないと肌・髪・爪などカサカサの干からびたような状態となってしまい美容の面でもおすすめできません。

正しい油抜きダイエットは、体にとって必要な油を適量摂取し、不必要な油の摂取を控えるようにしましょう。

  • 飽和脂肪酸 ⇒ ダイエット中なら摂取量を少なくしても大丈夫
  • 不飽和脂肪酸 ⇒ 1日の必要量をしっかり摂取しよう
  • 植物性油脂(トランス脂肪酸)⇒ できる限り摂取を控えよう

理想的な油の摂り方は、摂取量を10とした場合、7割オメガ9を摂取しましょう。残りは3割は体内で作ることができないオメガ6とオメガ3を4:1の割合で摂取するのが理想です。