デトックス効果は嘘!?ホットヨガ・岩盤浴などでデトックス効果という言葉が使われなくなったのはなぜ?

ホットヨガ・岩盤浴・遠赤外線サウナなどで盛んに使われていた『デトックス効果』というセールス文句ですが、一時期を境にデトックス効果という言葉が使われなくなりました。

大量に汗をかくことで体の毒素を排出して健康を保つと思われているようですが、大量の発汗にデトックス効果は本当にあるのでしょうか?

デトックスとは?

デトックス(detox)とは、生理学的・医学的に生物の体内に溜まった有害な毒物を排出させることです。この呼び名は、detoxificationの短縮形で、日本語で言うところの解毒(げどく)です。

人間は生活上、体内に人体に悪影響を及ぼす化学物質が蓄積され、口から摂取するものをはじめ、空気中に漂っているものなど、多岐に渡ります。

体内にたまる毒素の一例として、食品に含まれる添加物(保存料、人工甘味 料、着色料、乳化剤、残留農薬など)、水道水に含まれる鉛、発がん物質のトリハロメタン、空気中や雨に含まれる大気汚染物質、車の排気ガス、紫外線、タバコの煙などがあります。

健康を保つためには、これを排出させようと必要があると考えられていましたが、2009年、英国国民保健サービス(NHS)は体内に人体に悪影響を及ぼす化学物質(重金属や合成化合物、有害な薬物)が蓄積されるとされ、これを排出させようと言われているが、その必要はないと広報しています。

発汗によるデトックスは過大広告

人間が汗をかくのは体温を下げるためで、汗の成分の大部分は水とミネラルです。

しかし、汗の中には様々な種類の有毒物質も含まれています。そこで重要となるのが、汗に含まれる老廃物や有毒物質の量です。

研究報告によれば、汗に含まれる汚染物質の量は極めて少なく、2リットルの汗の中に含まれる汚染物質は0.1ナノグラム以下しか含まれていません。

ナノグラムと言われても分かりにくいと思うので言い換えると「1日で摂取し体内に取り入れた汚染物質のうち、2リットルの汗で出る量は0.02%に過ぎない」ということです。

体の毒素を排出して健康を保つということが完全な嘘ではないにしても、2リットルの汗の中に含まれる汚染物質の量が0.1ナノグラム以下しか含まれていないのに、ホットヨガ・岩盤浴・遠赤外線サウナなどで、デトックス効果を謳うのは過大広告と言わざるを得ません。

この事実を世間が知ることにより、デトックス効果をセールス文句にするお店が減りました。

毒素の排出は肝臓と腎臓の役割

汗の中に含まれる老廃物・有毒物質の量は極めて少ないということが判明し、体内に毒素が溜まってしまうのではと心配されるかもしれませんが問題はありません。

体内の老廃物や有毒物質を排出する役目を負うのは腎臓と肝臓であり、健康な肝臓と腎臓であれば問題なく自然に毒素を排出してくれます。

廃物や毒素を体内に溜めこまないためには、便や尿の排泄が重要になります。

水に溶けない物質は、肝臓から腸の中に送られ便として排泄されます。水に溶ける物質は、腎臓でろ過されたのちに膀胱に送られ尿として排泄されます。

また、元々 人間の体内にある農薬やその他の汚染物質の量自体、極めて微量であるため、過剰に心配する必要はありません。

発汗による健康効果

発汗にデトックス効果はあまり期待ができないということが世間に知られるようになりましたが、以前に増してホットヨガ・岩盤浴・遠赤外線サウナといった大量の発汗を伴うエクササイズ・リラクゼーションは人気です。

それでは、汗をかくことで得られる美容・健康面でのメリットはどのようなものがあるのでしょうか?

ちなみに、大量の発汗=大きなエネルギーの消費とは限りませんので、脂肪燃焼・ダイエット効果が得られるかは汗のかきかたによります。

【体温調整】
人間は体温が低すぎても高すぎても身体の様々な機能に悪影響を及ぼします。体温が低い時はエネルギーを燃焼して、体温が上がりすぎのときは発汗して体温を調整します。

【健康の炎症をブロック】
発汗すれば心拍数が上がり、運動中の筋肉への血流が増え、筋収縮の強さが高まります。ダメージを受けたタンパク質を修復し、新しい健康なタンパク質の生成を促す熱ショックタンパク質も増加します。熱ショックタンパク質は、体内の炎症を悪化させる細胞をブロックするとも言われている。

【エネルギー量の増加】
運動の序盤で汗をかくのは、体がオーバーヒートする前に、少ないエネルギーで体温が調節できている証拠です。体温調節に必要なエネルギーが節約できれば、実際のアークアウトに使えるエネルギーが増加します。

【肝臓の健康を保つ】
汗をかきやすい有酸素運動は、アルコールなどによるダメージから肝臓を守り、不要物の排出が促すことができる。

【集中力が高まる】
人間は周囲から自分がどのように見られているか見にするものですが、大量に発汗すると焦点が見た目から経験に移るため、その結果、集中力が高まる。

【肌の保湿効果】
汗由来の皮膚表面の油分は、シャワーを浴びた後でも乾燥要因から皮膚を守ってくれる。また、汗にはバリア機能があるので、外界の細菌から肌を守ってくれます。

【リラックス効果】
大量の発汗は副交感神経を活発にし、心身を深くリラックスさせ自律神経を整える作用があり癒しを得ることができます。深い睡眠が得られる効果も期待できます。