静岡マラソン 新型コロナウイルス感染症の影響を受け中止 参加費の返金無しは法的に問題が無いのか?

新型コロナウイルス感染症の影響を受け、静岡マラソン実行委員会は20日、3月8日に静岡市内で開催予定だった静岡マラソンを中止すると発表しました。

静岡県内で同ウイルス感染は確認されていないが、静岡マラソンは県外からの参加者が約6割を占め、隣接する東京、神奈川、愛知などでの感染者確認を受けて、中止決定に至ったという。

静岡マラソンの参加料1万2000円は、大会規約に基づき返金しないというが、参加料の返金無しは法的に問題が無いのでしょうか?

静岡マラソンとは?

静岡マラソンは、徳川家康公顕彰400年を記念して、2014年に創設さらたマラソン大会で、昨年の参加者数は、1万2332人で静岡県内最大規模のマラソン大会です。

今年の大会はフルマラソン、ファンラン(11・6キロ)、小学生の部(1・6キロ)を合わせて1万4312人がエントリーしていました。

県外からの参加者が半数以上を占め、県内に大きな経済効果をもたらしています。

新型コロナウイルス感染症の影響を受け中止

3月8日に静岡市内で開催予定だった第7回静岡マラソンですが、静岡マラソン実行委員会は20日、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、大会の中止を発表しました。

実行委員会は、「同ウイルスによる感染症のまん延や感染拡大の可能性がある。1年間かけて準備してきて、県内では約20億円の経済効果もある。海外からの参加者も多い。大変残念。何とかしてやれないかと議論してきたが、マスクと手の消毒ぐらいでランナーやスタッフ、県民を守るのは難しい。ランナーやボランティア、沿道で応援される皆様の健康と安全を考慮し、大会中止を決めた」と説明しました。

マラソンで1万2000円などの参加料は、大会規約に基づき返金しないが、Tシャツなどの参加賞は後日発送とのことです。

参加料の返金無しは法的に問題が無いのか?

大会に参加することに対して支払われた参加料1万2000円ですが、大会が中止になっても返金はされないようです。

静岡マラソン実行委員会は大会規約に基づき返金しないというが、参加料の返金無しは法的に問題が無いのでしょうか?

参加者の多くは、「状況が状況だから仕方がない」「まあ、1万2000円くらいなら」といったようにある程度の理解は得られているようですが、一部からは返金が無いことに対して不満の声も聞かれます。

返金をしないという対応ですが、静岡マラソンの大会規約を確認してみると下記のような文言があります。

主催者の責によらない事由(地震・風水害・降雪・事件・疾病ほか)で大会が中止になった場合、参加料の返金等は一切行いません。

今回の新型コロナウィルス感染症の問題は、規約内の「疾病」にあたるので返金なしと判断したものだと思いますが、日本においては、現在、流行が認められている状況ではなく、今現在は静岡県内での感染者は確認されていません。

この規約が法的に無効であれば参加費の返金を求めることは可能だと思われますが、民法や消費者契約法の条文を駆使して、公序良俗に反するとか消費者の利益を一方的に害すると言い切るのは難しいのではないでしょうか。

同ウィルス問題は事前に予想できなかったことです。すでに事前の準備で莫大な経費を投じている主催者側に、その全責任を負わせるというのは違うのではないかと思います。

しかし、世の中には一般の人では理解しがたいクレーマーがいるのも事実です。

申込時に規約を読んでいない、規約が小さすぎる、規約の入口が分かりずらい、難解な言葉で意味が理解できないなどと、言ってくるクレーマーがいるかもしれません。

しかし、静岡マラソンの大会規約を実際に読んでみましたが、静岡マラソンに限っていえば、その論法は通らないでしょう。

実行委員会の優越的地位の乱用だ、中止の判断が間違っているといったクレームも「ランナーやボランティア、沿道で応援される皆様、県民の健康と安全を守る」という大義名分があり、今後も感染者の拡大が予想されるため、認められる可能性は低いでしょう。

しかし、規約の文言が一切太刀打ちができない完璧なものとも思えません。静岡マラソン大会実行委員会には、一部で返金無しという対応に対して不満の声があるということを真摯に受け止め、来年の参加費の減額などの配慮や、これまでにかかった費用を公開して剰余金を震災の被災地に寄付するなど皆から理解が得られるような対応が求められます。

【関連サイト】

静岡マラソン 公式ホームページ
http://www.shizuoka-marathon.com/

厚生労働省ホームページ
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html

首相官邸ホームページ
http://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/coronavirus.html